食品表示とは(食品表示と印字)
消費者の安心をささえる食品表示
現在ではほとんどの食品が包装されていますが、こうした食品には消費者が安全・合理的に商品を選択するために必要となるさまざまな項目の表示が義務づけられています。
ある調査*によると、食品を選ぶ時に「安全性」を意識する人(常に意識する・よく意識する・たまに意識する)はおよそ85%となっており、食品の安全性への関心の高さがうかがえます。
実際、食品を購入する際には、賞味期限・消費期限、原材料、原料原産地等の表示を参考にする人は多く、賞味期限・消費期限においては80%近くが参考にしている(いつも参考にしている・ときどき参考にしている)と回答しています。
このように消費者が食品を選択する際に表示は欠かせないものとなっています。
*「令和4年度食品表示に関する消費者意向調査 報告書」(消費者庁,令和5年8月10日)
食品表示のルール(食品表示法)
食品表示のルールは以前は「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」にまたがり消費者にとっても事業者にとっても非常にわかりづらいものでしたが、2015年4月から「食品表示法」によりルールが一本化されました。
加工食品と添加物のすべての表示は5年、生鮮食品の表示は1年6か月の経過措置期間を経て、現在では食品表示法にそった表示がされています。
食品表示のルール(食品表示法)
食品表示のルールは以前は「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」にまたがり消費者にとっても事業者にとっても非常にわかりづらいものでしたが、2015年4月から「食品表示法」によりルールが一本化されました。
加工食品と添加物のすべての表示は5年、生鮮食品の表示は1年6か月の経過措置期間を経て、現在では食品表示法にそった表示がされています。
食品表示法で義務となっている表示項目(加工食品)
消費者向けの加工食品のうち、パック、缶、袋などに包装されているものには、期限表示をはじめとした以下の9項目の表示が必要です。
- 名称
- 保存の方法
- 消費期限又は賞味期限
- 原材料名
- 添加物
- 内容量又は固形量及び内容総量
- 栄養成分の量及び熱量
- 食品関連事業者の氏名又は名称及び住所
- 製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称 等
上記以外に、一定の要件に該当する場合には以下の表示が必要です。
- アレルゲン
- L―フェニルアラニン化合物を含む旨
- 指定成分等含有食品に関する事項
- 特定保健用食品に関する事項
- 機能性表示食品に関する事項
- 遺伝子組換え食品に関する事項
- 乳児用規格適用食品である旨
- 原料原産地名
- 原産国名
生鮮食品の表示
農産物、畜産物、水産物では、「名称」「原産地」等が、玄米及び精米では、「名称」「原料玄米」「内容量」「調整時期、精米時期又は輸入時期」「食品間関連事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」が表示されています。
消費期限と賞味期限(期限表示)
食品表示の中でも、消費期限や賞味期限などの期限表示は、一番身近の表示の一つです。過去には、製造年月日のみ、品質保持期限などさまざまな表示がされていましたが、2003年から以下の2つの期限表示に統一されました。
消費期限
期限内に食べきる必要がある。
定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなる恐れがないと認められる期限を示す年月日。
賞味期限
美味しく食べられる期限。
※3か月以上の場合は年月のみでもよい。
定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日。
賞味期限が3か月以上の食品についても年月日を表示する製品が多くみられたが、在庫や販売管理の効率化や食品ロス削減のため、飲料や調味料など賞味期限の長い商品を中心として「年月」への表示の切り替えが拡大している。
賞味期限の表示がないアイスクリームがあるのはなぜ?
アイスクリーム類は、品質の変化が極めて少ないため、賞味期限の表示を省略することが可能です。ほかにも、チューインガム、砂糖、食塩、酒類などいくつかの食品については、同様の理由により消費期限・賞味期限の表示の省略が認められています。
このほかにも、表示可能面積がおおむね30cm2以下の場合の表示事項(アレルゲンなど安全に関する一部の表示項目を除く)、常温で保存すること以外に留意すべき事項がないもの等の保存の方法など、義務表示項目の省略が認められているものがあります。
栄養成分表示
食品表示法により、原則としてすべての消費者向けの加工食品及び添加物には栄養成分表示が表示されています。
義務 | 熱量(エネルギー)・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウム(「食塩相当量」で表示)*
*任意にナトリウムの量を表示する場合、ナトリウムの量の次に食塩相当量を括弧書き等で併記。 |
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推奨 | 飽和脂肪酸・食物繊維 |
その他任意 | ミネラル(カルシウム、鉄など)・ビタミン(ビタミンA、ビタミンCなど)・n-3系脂肪酸・n-6系脂肪酸・コレステロール・糖質及び糖類 |
栄養強調表示
「カルシウム2倍」「糖類ゼロ」等の表示をみたことはありませんか? このように、健康の保持増進に関わる栄養成分についての補給や適切な摂取ができる旨の表示を「栄養強調表示」といいます。栄養強調表示は、基準を満たした食品だけに使われています。
アレルギー表示
食物アレルギーの増加に伴い、2001年から容器包装された加工食品に対して、表示の必要性の高いアレルゲンの表示が義務化されるようになりました。
以前はマヨネーズ(卵を含む)などアレルゲンを含むことが明らかと考えられる加工食品(特定加工食品)が原材料に含まれる場合にはアレルゲンの表記を省略できましたが、食品表示法のもとではアレルゲンの記載が必要となるなど、アレルギー表示のルールが改善されています。
表示義務対象(特定原材料):8品目 |
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えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)
*2023年3月9日食品表示基準改正により「くるみ」が特定原材料に加わりました(経過措置期間は2025年3月末まで)。 |
表示推奨対象(特定原材料に準ずるもの):20品目 |
アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・マカダミアナッツ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン |
原料原産地表示制度
これまで原材料の産地表示は、一部の加工食品にのみ義務づけられていましたが、2017年9月(経過措置期間は2022年3月末まで)より全ての加工食品*の1番多い原材料について、原料原産地が義務づけられました。
*外食、容器包装に入れずに販売する場合、作ったその場で販売する場合及び輸入品は対象外です。
原料原産地名の表示の仕方
原料の原産地表示は、1番多い原材料について、原則、使用される重量割合の高い順に国名を表示する必要があります。 収穫時期などで産地が切り替わる場合や、重量割合が変動するために産地の表示の順番が変わる場合などには、一定の条件を満たせば「又は表示」「大括り表示」などが認められています。
消費者にわかりやすい産地表示に最適なサーマルプリンタ
産地の切り替え等があっても「又は表示」「大括り表示」などにより表示内容を変更しないことは可能ですが、消費者にわかりやすいとはいえません。消費者にとってわかりやすく安心感があるのは実際の産地が表示されていることです。包材への印刷では対応が難しいですが、原料原産地を含む一括表示をサーマルプリンタ等での直接印字に切り替えれば、包材の無駄なくすばやく表示の産地変更に対応できます。
製造所固有記号
消費期限・賞味期限や、製造者名等の表示の近くに「+」が付いた数字やアルファベットを組み合わせた記号を見たことはありませんか? これは「製造所固有記号」です(製造所固有記号は「+」を冠して表示することになっています)。
食品表示では「製造所の所在地及び製造者の氏名等」の表示が義務づけられていますが、例外的に「製造所固有記号」を代用することができます。
製造所固有記号は、製造者等が実際に食品を製造した製造所を表す固有の記号として消費者庁に届け出たものです。原則として同一製品を2以上の工場で製造する場合に限り使用でき、次のいずれかの事項を表示する必要があります。
- 製造所の所在地等の問い合わせがあった際に回答する者の連絡先
- 製造所の所在地等の情報が掲載されているウェブサイトのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む)
- 製造所固有記号があらわす製造所の所在地等一覧
製造所固有記号で示されている場合、消費者は上記の情報のほか、消費者庁の製造所固有記号制度届出データベースで検索することで、製造所の所在地等を把握することができます。
製造所固有記号が期限表示の近くに表示されているのはなぜ?
製造所固有記号は、原則として「製造所又は販売者の住所、氏名又は名称」の次に連記しますが、容器包装の形態等からやむを得ず連記しない場合には、製造所固有記号の表示場所を表示し、この記号が製造所固有記号である旨を明記することで、別の場所に表示することができます。
同一製品を複数の工場で製造する場合には、包材にあらかじめ印刷せずにサーマルプリンタ等の印字機で期限表示と合わせて製造所固有記号を【印字】することがあり、そのため近くに表示されていることがよくあります。